路面電車 広島・小網町

広島は路面電車の街だ。

市内には道の真ん中に柵でガードされたホームが点在する。

そんななか、ホームのない駅が一つだけ残る。

広島市中区の「小網町電停」。

草創期の面影を残す風景は鉄道ファンからも注目される。

 

乗客は道路の端に立って電車を待ち、電車が来たら道路の中央に渡って乗る。

車内では「ホームのない平面電停のため、段差がございます」という

アナウンスが流れる。降りるのも乗るのもちょっとハードルが高い駅だ。

 

運行会社の広島電鉄が唯一の平面電停を残したのは、

道路幅が15メートルと狭く、ホームの設置ができなかったため。

道路が拡幅されず、古い町並みがそのまま残っていた。

1970年代には一時廃止論も出たが、住民から存続の要望があり残ることになった。

2021年度の乗降人員は1日平均約850人。

 

実はこの場所、広島電鉄にとってあまりクローズアップされたくない場所でもある。

安全確保が何よりも大事という考えと、

地域住民の要望に沿う地域密着型の姿勢とのジレンマの象徴のようなものだからだ。

見に行く際にはくれぐれも安全に気をつけて。