くさぎ菜のかけめし 岡山県吉備中央町
岡山県のほぼ中央に位置する吉備中央町の郷土料理「くさぎ菜のかけめし」が、
地域に根付く食文化の継承を目指す文化庁の取り組み「100年フード」に認定された。
近年廃れつつあった料理を次の世代に受け継ごうと、町はPRに乗り出している。
くさぎ菜は、山野に自生し、
葉に特有の臭気があるシソ科の植物クサギの若芽を乾燥させたもの。
あく抜きや水で戻す作業など手間がかかるが、栄養価が高い上、
乾燥させると長期保存もできるため、
冬は氷点下になることもあるこの地域で重宝されてきた。
くさぎ菜のかけめしは、小さく切って油で炒めたくさぎ菜を、
鶏肉や錦糸卵、根菜などと共に味付けして白米にのせ、だしをかけて食べる。
だしの味がしみ込み、他の具材やご飯とよく合う。
同町観光協会の六反かゆこさんは「お茶漬け感覚でさらっと食べられる」と話す。
ただ、近年は手間の多さから敬遠する飲食店が増え、
現在町内で提供しているのは2軒だけだ。
観光協会は「このままでは町の郷土料理が消滅してしまう」との危機感から
文化庁への応募を計画。
料理に関する文献がないなど苦労もあったが、
町民らから「明治生まれの人から作り方を教わった」との声を集め、認定にこぎ着けた。
くさぎ菜のかけめしを提供する町内の飲食店によると、
認定前の注文は週1、2回だったが、認定後は1日3~6回に増えた。
六反さんは「まだまだ伸びしろがある。今後も魅力を発信していきたい」と期待を込める。